レーザーカッターで加工できる素材は、木材・アクリル・金属・革・布・石材など多岐にわたります。ただし素材ごとにレーザーの種類や出力条件が異なるため、初心者が正しく理解しておくことが重要です。本記事ではレーザーカッターの素材選びに必要な基礎知識を一覧形式で整理し、各素材の加工特性・適したレーザーの種類・注意点を解説します。

レーザーカッターの素材選びで押さえるべき基本
レーザーの種類と素材の相性
レーザーカッターには主に3つのレーザー方式があり、加工できる素材が異なります。
- CO2レーザー: 木材・アクリル・革・布・紙などの非金属素材に適しています。波長10.6μmの赤外線で有機物を効率よく加工できます
- ダイオードレーザー: 木材・革・アクリルなどの彫刻・薄材カットに対応しています。小型で家庭用モデルに多く採用されています
- ファイバーレーザー(赤外線レーザー): 金属・プラスチックへのマーキングや彫刻に対応しています。ステンレスやチタンなど高硬度素材も加工可能です
「カット」と「彫刻」の違い
レーザー加工には「カット(切断)」と「彫刻(エングレービング)」の2種類があります。
- カット: 素材を完全に切り抜く加工。出力と速度のバランスが重要
- 彫刻: 素材の表面を削って文字や図柄を刻む加工。細かいデザインの再現に適している
素材によって「カットのみ可能」「彫刻のみ可能」「両方可能」と対応範囲が異なるため、事前の確認が欠かせません。
レーザーカッター 木材加工の特徴と注意点
対応する木材の種類
レーザーカッター 木材加工では、以下の素材がよく使われます。
- バスウッド(シナ合板): 柔らかく均一な組織でカット・彫刻ともに安定した仕上がり
- MDF(中密度繊維板): 繊維方向がないため均一な加工が可能。コストも低い
- 竹: 硬度があり、彫刻のコントラストが美しく出る
- 合板: 入手しやすく安価。ただし接着剤層でカット品質にばらつきが出る場合がある
木材加工時の注意点
- 含水率が高い木材は焦げやすく、仕上がりにムラが出ます。含水率8〜12%程度の乾燥材が理想的です
- ヤニ(樹脂)が多い針葉樹は加工面がベタつきやすい傾向があります
- カット断面に焦げ(バーンマーク)が残るため、やすりがけやマスキングテープの事前貼付で対処します
- 適したレーザー: CO2レーザーまたはダイオードレーザー(10W以上推奨)
レーザーカッター アクリル加工の特徴と注意点
アクリルの種類による仕上がりの違い
レーザーカッター アクリル加工では、素材の製法によって仕上がりが大きく変わります。
- キャストアクリル: レーザーとの相性が良く、カット断面が透明で美しい。彫刻では白く発色し、文字やロゴの視認性が高い
- 押出アクリル: カット断面がやや白濁する。コストは低いが、仕上がり品質はキャストに劣る
アクリル板の厚さは2〜10mm程度がレーザーカットに適しており、一般的なCO2レーザー(40W)で厚さ10mm程度までカット可能です。
アクリル加工時の注意点
- 加工時に可燃性ガスが発生するため、換気設備は必須です
- 保護フィルムを付けたまま加工すると、表面の焦げ付きや汚れを防止できます
- 加工速度が遅すぎると溶融して断面が荒れます。速度と出力の調整がポイントです
- 適したレーザー: CO2レーザーが最適です。ダイオードレーザーでは薄手の彫刻に限定されます
レーザーカッター 金属加工の特徴と注意点
加工可能な金属の種類
レーザーカッター 金属加工は、主にファイバーレーザー(赤外線レーザー)で行います。
- ステンレス: マーキング・彫刻に対応。銘板やアクセサリーに使用される
- アルミニウム: 反射率が高いため出力調整が重要。陽極酸化処理済みが加工しやすい
- チタン: 高硬度だがファイバーレーザーで精密な彫刻が可能
- 真鍮・銅: 熱伝導率が高く、出力を高めに設定する必要がある
金属加工時の注意点
- 家庭用のCO2レーザーやダイオードレーザーでは金属の切断はできません。金属へのマーキングにはファイバーレーザーまたは赤外線レーザー搭載モデルが必要です
- 反射率の高い素材(銅・アルミなど)はレーザー光の反射で機器を損傷するリスクがあります
- 金属切断には産業用の高出力レーザーが必要で、家庭用では「彫刻・マーキング」が中心となります
- 適したレーザー: ファイバーレーザー・赤外線レーザー
革(レザー)加工の特徴と注意点
革素材の適性
- 本革(牛革・豚革など): レーザー彫刻で美しい焼き色が入る。名入れやオリジナルグッズ制作に人気
- ヌメ革: タンニンなめしのため、レーザーとの相性が特に良い。彫刻の発色がきれい
- 合成皮革(PUレザー): 加工可能だが、素材によっては有害ガスが発生する場合がある
- PVC(塩化ビニル)レザー: 加工時に塩素系有害ガスが発生するため、レーザー加工は厳禁
革加工時の注意点
- PVC素材は絶対に加工しないでください。塩素ガスが発生し、人体や機器の光学部品を腐食させます
- 本革は厚みで必要出力が変わります。1〜2mmの薄革なら10W程度のダイオードレーザーでもカット可能です
- 加工時のにおいが強いため、十分な換気を確保してください
- 適したレーザー: CO2レーザーまたはダイオードレーザー
その他の素材と加工対応一覧表
上記の主要4素材以外にも、レーザーカッターで加工できる素材は多くあります。
- 紙・段ボール: 低出力・高速度で精密カットが可能。ペーパークラフトや招待状に活用される
- 布・デニム: カットではほつれが出にくく、縫製前の裁断に適している。化学繊維は溶融に注意
- ガラス・石材: カットはできないがCO2レーザーでの表面彫刻に対応
- コルク: カット・彫刻ともに可能。コースターや装飾品に活用される
| 素材 | カット | 彫刻 | 適したレーザー | 加工難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 木材(バスウッド・MDF) | 可 | 可 | CO2 / ダイオード | 低(初心者向け) |
| アクリル(キャスト) | 可 | 可 | CO2 | 低〜中 |
| 革(本革・ヌメ革) | 可 | 可 | CO2 / ダイオード | 低 |
| 金属(ステンレス等) | 不可(産業用は可) | 可 | ファイバー / IR | 高 |
| 紙・段ボール | 可 | 可 | CO2 / ダイオード | 低 |
| 布・デニム | 可 | 可 | CO2 | 中 |
| ガラス | 不可 | 可 | CO2 | 中〜高 |
| 石材 | 不可 | 可 | CO2 | 中 |
| コルク | 可 | 可 | CO2 / ダイオード | 低 |
この一覧を参考に、目的に合った素材とレーザーの組み合わせを選んでください。
レーザーカッターの素材選びでよくある質問
Q1. 加工してはいけない素材はありますか?
以下の素材はレーザー加工が禁止、または推奨されません。
- PVC(塩化ビニル): 加工時に有毒な塩素ガスが発生し、人体や機器に深刻なダメージを与える
- ポリカーボネート: 加工時に変色・溶融し、有害ガスが出る
- ABS樹脂: シアン化水素が発生する可能性がある
- テフロン(PTFE): フッ素系有害ガスが発生する
素材の安全データシート(SDS)で対応可否を事前に確認することが大切です。
Q2. 初心者におすすめの素材は何ですか?
初心者には、加工難易度が低く入手しやすい以下の素材がおすすめです。
- バスウッド合板(3mm厚): 安価で加工しやすい。練習用に最適
- MDF(3mm厚): 均一な材質でカット・彫刻の練習に向いている
- キャストアクリル(3mm厚): 断面が美しく、完成品のクオリティが高い
Q3. 家庭用レーザーカッターで対応できる素材の範囲は?
家庭用のダイオードレーザーモデルは、木材・革・紙・布・コルクなどの有機素材が中心となります。金属への彫刻も行いたい場合は、赤外線レーザーやファイバーレーザー搭載モデルを選ぶ必要があります。たとえばLaserPeckerのLP4はデュアルレーザー構成で木材やアクリルから金属まで300種以上の素材に対応しています。LP5はファイバーレーザー搭載で99%の素材に対応可能とされ、素材の幅広さを重視するユーザーに注目されています。
まとめ|レーザーカッターの素材は目的に合わせて選ぶ
レーザーカッターで加工できる素材は非常に幅広いです。木材やアクリルは初心者でも扱いやすく、革は名入れに、金属は彫刻やマーキングに活用できます。一方でPVCなど加工禁止素材もあるため、安全面の確認は欠かせません。
素材選びのポイントは以下の3つです。
- 加工目的(カットか彫刻か)に合った素材を選ぶ
- 素材に適したレーザー方式の機種を使用する
- 安全データシートで有害ガスの発生有無を確認する
本記事の一覧表を参考に、目的に合った素材から加工を始めてみてください。



